【完】小野くん症候群
『す…好きなの』
「……」
「……」
あれ?
顔を見合わせたまま
固まるあたしと双葉。
声のするほうに顔を覗かせると
茂みの向こうに立つ二つのシルエット。
『小野くんのことが…好きなの』
「お!?…もごっ」
女の子の口から出た名字に
過剰に反応してしまったあたしを
双葉の手が寸前で阻止した。
「(バカ! あんた部外者なんだから引っ込んでなさいよ!)」
「(く…苦しいーっ)」
────ドクン、ドクン。
心臓、うるさい。
どうしよう、あの子見た感じ…
巨乳です。
(少なくともあたしよりは絶対ある)