【完】小野くん症候群






──────放課後。




「小野くん小野くん」



お昼の一件が気になって
誘うのを躊躇ったけど


それよりも小野くんと一緒にいたい。



その思いがずっと勝っていた。


小野くんを探すと彼はいつもの教室ではなく中庭のベンチで居眠りをしていた。



音楽プレイヤーを聴きながら
寝そべっている彼の周りには


落ち葉がヒラヒラ舞っていて。



あたしの目を見ず以前閉じられた瞳。

そんな彼の元へ近づくと
徐に顔を覗き込む。



「狸寝入りしてるでしょ」


「…(チッ、バレた)」



ムクッと上半身を起き上がらせた
小野くんは頭を少し乱暴に掻く。




「なに…」


「い、一緒に帰んない?」


「……」



うあああ

もう無言でそんなジッと見ないでよ!


何気無しに言ってるけど、毎回すごく勇気がいるんだから!





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