【完】小野くん症候群
「お前って変わってんのな」
「き…恐縮です」
「あとさー、あのさー」
気まずそうに視線を逸らす小野くん。
「…パンツ丸見え」
「うそ?! えやだごめん!」
咄嗟にスカートをギュッと押さえる。
あ。だ、だからあたしの方を見ようとしなかったの?
だとしたら、まだ脈あるかなコレって。
まだ押しても、うんざりされないかな?
小野くんはエナメルバックを掴むとまた競歩であたしの数メートル先を歩いてから
振り返って、あたしを誘うんだ。
『お前も来る?』って。
「────っ」
小野くんの言葉があたしの背中を押す。
ちくしょう、悔しいなあ。
やっぱりどうしたって好きだよ。