【完】小野くん症候群






「ッううー」

「っ、そんな顔で泣かれると、俺が困る」


どうしていいか分からない。

そういう顔丸出しの小野くんは、少し躊躇うように制服の袖であたしの涙を拭いた。



いつも子供みたいな小野くんなのに

今日はあたしが子供みたいだ。



「内田、ごめん俺よく分かんね」

「─────っ」

「今分かることは迷惑だとは思ってないことと、お前に泣かれると困るってことくらいなんだけど…」


「それだけで、…っじゅーぶん…っ!」

「…はは、とことん高望みしねーのな」



あ、それ。

小野くんが笑うその顔が
見れるならなんだっていいんだよ。



でもしばらくはこのままで…



「ぎゃぁぁああああ!! 内田、ついに出たよシルバーキットマンが!!」



いや、だからそこだって。

…まあ、いいや。



「ゲ、これが?
なんか随分厳つくない?」


「シルバーキットマンを馬鹿にする奴は
シルバーキットマンで死ね」
「あ、ごめんなさい」






< 22 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop