【完】小野くん症候群
「ッううー」
「っ、そんな顔で泣かれると、俺が困る」
どうしていいか分からない。
そういう顔丸出しの小野くんは、少し躊躇うように制服の袖であたしの涙を拭いた。
いつも子供みたいな小野くんなのに
今日はあたしが子供みたいだ。
「内田、ごめん俺よく分かんね」
「─────っ」
「今分かることは迷惑だとは思ってないことと、お前に泣かれると困るってことくらいなんだけど…」
「それだけで、…っじゅーぶん…っ!」
「…はは、とことん高望みしねーのな」
あ、それ。
小野くんが笑うその顔が
見れるならなんだっていいんだよ。
でもしばらくはこのままで…
「ぎゃぁぁああああ!! 内田、ついに出たよシルバーキットマンが!!」
いや、だからそこだって。
…まあ、いいや。
「ゲ、これが?
なんか随分厳つくない?」
「シルバーキットマンを馬鹿にする奴は
シルバーキットマンで死ね」
「あ、ごめんなさい」