【完】小野くん症候群





ドキドキ、ドキドキ。


「はああ。小野くん症候群炸裂だあー」


胸を摩りながら深く息を吐けば、小野くんが『わけ分からん』なんて。


いいんだ。コレはきっとあたしだけが味わえる特権だと思うの。

でも出来るなら、小野くんにも同じ気持ちになってほしいって、いつも願ってる。





駅に着くと

あたしたちはお別れ。



小野くんはバスで帰って

あたしは電車。


あたしも佐野市に生まれたかったな。


なんて毎回思うほど、この瞬間は悲しい。



「お前電車何分?」

「え? 19時20分」

「ふーん。俺もまだだし座れば?」

「っうん!」



バス停前のベンチに腰掛ける小野くんの隣を、少しだけ距離を空けて座る。


やった、もう少し一緒に入れる。


「ふふふ」

「は、何急に」


「小野くんともちょっと
一緒にいれると思うと嬉し…



そこまで言ってハッと口が閉じた。

隣にいる相手がその小野くんだってこと一瞬忘れてた。






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