【完】小野くん症候群
めげるなアタシ
「紗和! 告白どうだった!?」
一人、教室であたしの健闘を祈っててくれた双葉が心配そうに話しかけてくる。
放課後のガランとした教室は
いつもよりなんだか寂しげに見えて。
「美人でお姉さん風な
巨乳じゃなきゃ嫌だって」
「(紗和にはハードル高ぇえ)」
しまいには双葉にまで同情の目で見つめられるという。とことん悲しい。
遠くで鳴くカラスの声でさえ
今のあたしには悲しく聞こえる。
「げ…元気だしなよ紗和?
男なんて腐るほどいるしさっ」
「え、誰もあきらめるなんて言ってませんよ双葉さん」
「え゛ここまで言われておいて!?」
それはそれ。
これはこれでしょ。
昇降口でローファーに履き替えた双葉は
信じられないというようにあたしを凝視した。
「そこまであの無口男がいいの?
確かに顔はイケメンだけどさー。何もそこまで絶世の美少年じゃないじゃん」
「そうだけど。あたしは小野くんの無口でクールでズバッと言うとこが好きなの」
うん、一度振られたくらいでしょげてる場合じゃない。