【完】小野くん症候群
連れてこられた先は
人気のない廊下の端っこ。
なんだろう、と思いながら相手が口を開くのをあたしはただただ待っていた。
『あのさ』
「うん?」
『えーと…』
「うん」
『その…大橋って
…彼氏とか、いるの?』
「双葉?
んーん、いないと思う」
なんでいきなりそれを…
あ! もしかしてこの人。
「双葉のこと好きなの!?」
『――――っや、まあ、…うん』
「やっぱり〜!
なあんだじゃ、
あたしじゃなくて双葉呼びなよー」
『いやだっていきなり話し掛けて引かれんのやじゃん!』
だからってなんで私を?
赤い顔を更に赤く染めながら
たじろぐ園井くんという男子は
協力してほしいとお願いしてきた。
あー! そういうことねっ。
「協力って何すればいいの?」
『大橋の好きなタイプとか誕生日とか、あとなんかキッカケ作って俺のこと紹介してくれない?』
「え、ごめん。私双葉に園井くんのこと思いっきり話したことないって言っちゃった」
『ええー。いいよじゃあ
今から友達になろーよ』
いいのかそれで。