【完】小野くん症候群
「うあっ」
暫時黙ったままだった小野くんは、あたしの両脇に手を突っ込めると無理やり立たせる。
「今から俺の理想の女を言います」
「まさかのトドメ――!?」
「そこはスルーで。よく聞けよ」
「は、はぁ…?」
「美人で年上風で巨乳で包容力があって人間的にしっかりした奴」
「うわあーっ、増えてるしーっ」
「内田は真逆だよな」
「もうひと思いにに殺してくれーっ」
…ああ、やっぱり
あたしじゃ駄目なのかな。
遠まわしに諦めろってことかな。
我慢していた涙腺はあと一言で
溢れ出てしまいそうだった。
すると、突然何を思ったのか小野くんの頭がふわり、あたしの肩に降ってきた。
少しくせ毛な髪の毛が、小野くんが息するたび首すじをくすぐる。
「なのに俺、最近おかしいの」
「ぉ、おのく…」
「貧乳でチビで童顔な内田がすげー可愛いく見えて苦しい」
「―――っ」