【完】小野くん症候群
ドクドクドク。
あたしの心臓の音に混じって聞こえる音に思わず顔を上げれば、目が合って。
「え、小野くんもドキドキしてる?」
「する。し過ぎて死にそうなくらい」
「っ」
キューン。
耳まで真っ赤な小野くんに、心臓が暴れる程にジタバタ悶えた。
だって可愛いよその顔…!
「おやおやおや。それは巷で有名な内田症候群ではないでしょうか?」
「お前ほんとムカつく」
そんな気持ちを必死に抑えて敢えて茶化せば、今度は悔しそうに唇を噛みしめる小野くん。
どの小野くんからも、目が離せない。
最初は理想と違う小野くんに戸惑ったりもしたけれど、今は小野くんが小野くんで良かったと心から思うよ。
「内田、もっかい俺のこと見て」
笑みを浮かべて要望に応えると
ちゅ
直後に襲ったリップ音と
感じたことのない感触に
思考がフリーズした。