【完】小野くん症候群
少し得意げに笑みを浮かべる小野くん。
───────カァアア
それがキスだと理解した途端、治った熱が再び私の顔全体を包み込んだ。
「そこまで赤くなられると
何度もしたくなるんだけど」
「こ、これ以上は私が死ぬ…っ」
赤い顔を隠すように掌で包めば、その姿を見た小野くんが極上の笑顔を浮かべた。
「内田、今日の放課後
一緒にアニメショップ行こ」
「…っ、うん」
「で、その後ちょっと遠回りして帰ろ」
「うんっ」
いいよ、何処へでだって。
小野くんが一緒なら。
発症は数ヶ月前から。
主な症状は
鼓動の加速
胸の高鳴りと締め付け
嫉妬によるズキズキ
不安からくるモヤモヤ
突然襲うドキドキ
手につかなくなりボーッとすること
目で追ってしまうこと
挙動不審になってしまうこと
それらは全部、きっと
小野くん症候群
END