図書室で、恋。
私、何聞いてるんだろう。
悠太は怪我人。今はそんなことを聞いている場合じゃない。
「ごめ…何でもない。帰ろう、足痛い?」
「え…あ、ま、そりゃね。」
「2ケツ…私が漕ぐ。」
「は、馬鹿かお前。俺乗せて漕げるわけねぇだろ。荷物だってあんだぜ?」
「大丈夫。」
「いや、無理だってば。母さん呼ぶから…「いいから!!」」
私の声が響き渡った。
自分でもその声の大きさにハッとする。
何イライラしてるの私。まるで自分の感情がコントロールできていない。
「お、おばさん呼ぶくらいなら、チャリ置きになんで来たの?」
私はさっきまでとは打って変わった明るい声を出す。
「あー…確かに。確かにそうだな。」
「ふっ…」
私は悠太の様子に笑った。
本当にコイツは馬鹿。何、自分でも納得しながら驚いてるのよ。
そこは冗談でも…たとえ冗談でも…
陽彩が待ってるからって、そう言って欲しかったよ。
私はポツポツと沸きあがる感情を押し込んで、自転車を押し出した。
「ほら!帰るよ!」
とびきりの笑顔を悠太に見せて。