図書室で、恋。


昨日は帰宅後、お母さんに体調が悪いと言い、ご飯も食べずにお風呂だけ入って寝た。

当たり前のことかもしれないけれど、やはり心配をかけてしまったか…。

お父さんは今日は仕事、そしてお母さんはパートに出かけているみたい。


お母さんには悪いけど、そっちの方がちょうどいい。
何か言われるよりは、一人になりたい気分だったから。


冷蔵庫を開け、ご飯を取り出す。

サラダとやベーコンエッグなどが乗ったワンプレート朝ごはん。

インスタントのコーンスープをマグカップに入れて、テレビのスイッチを入れた。


土曜日の朝らしいグルメ番組。
食レポが下手過ぎるタレントが商店街を食べ歩きするコーナーなようだ。


「……。」

昨日から頭から離れないたくさんのこと。

一番の原因は…あのマネージャーの子と何も出来なかった自分だ。


悠太と湯川さんがぴったりくっついて現れた時、一瞬 時間が止まったようなそんな感覚に陥った。


どうして悠太に触るの?

どうして悠太の荷物を持ってるの?

どうして悠太と話してるの?


自分の中の何か黒い渦のようなものがドロドロとあふれ出て来た。


悠太が私に言った、まだという言葉。

悠太が湯川さんに言った、サンキューという言葉。


悠太は痛みをこらえながらも、私と湯川さんに向けた表情は誰もがとって分かるように違った。


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