図書室で、恋。


あんなに優しそうな悠太の顔…私は見たことが無かった。

そして初々しいような、少し恥じらいながらも笑った湯川さんの笑顔は、素直に可愛いと思った。


私は、その時ただボーっと立っていただけ。


何も動けなかった。

何も話せなかった。


「……。」


…違う、そうじゃなくて、二人の世界に入っていくことが出来なかった。


サラダを食べる手を止める、お腹が空いていないわけではないのに、喉に食事が通らなかった。


あの子は…湯川さんは悠太のことが好きなのだろうか。

それともマネージャーとして、ただ悠太を送り届けただけなのだろうか。


……分からない。


でも私がもしあの場所にいなかったら?

私が悠太を待っていなかったら?


湯川さんは悠太と一緒に帰ったのだろうか?


私はブンブンと頭を振った。

もう、何も考えたくなかった。



悠太の隣にいるのは、いつだって私。

そう思っていたのに……


悲しくて、怖くて、辛くて、しんどくて。

悠太との距離がどんどん離れていくような気がした。


「……。」


いつの間にか、テレビは違うコーナーに変わっていた。


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