図書室で、恋。


モヤモヤした思いを抱えながら月曜日を迎えた。

気分はいつになく重かった。


悠太は全治2週間の捻挫。
おばさんに送ってもらうようで、今日からしばらくは一人で登校だった。

こんなことは、物心ついてからは初めてだった。

悠太との距離がいよいよ本格的に離れていくような気がした。


「陽彩、おはよう。珍しく早いね。」

「あ、瑠璃…おはよう。」


教室に入ると、瑠璃が物珍しそうに私に笑いかけた。

そりゃそうか。いつも悠太のせいでギリギリなんだもんな。


「どうしたの?元気ないね。悠太くんと何かあった?」

「え…あ、悠太怪我しちゃって。しばらくは一人登下校になっちゃった。」

「え?!そうなの。悠太くん、大丈夫?」

「だ、大丈夫じゃない?これを機にしっかり勉強すればいいと思うし!」

私は瑠璃に笑いかけてそう言った。


「なんか、無理してない?大丈夫?」


やっぱり瑠璃は手強い。すぐに見透かされてしまう。


「ありがと。でも大丈夫。」

「そう?何かあったら言ってね。」

「うん。」


もうすぐ大きな大会が控えている瑠璃。
瑠璃は表には出さないけれど、瑠璃がその大会に力を入れているのはよく知っている。

だからあんまり迷惑はかけられない。


私はもう一度瑠璃に笑いかけた。


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