図書室で、恋。


地元で中の上ってあたりのレベルのこの高校。

上位の高校に追いつこうとけっこう必死。
入学したばかりは毎日のように課題や予習復習に追われて、ヒーヒー言っていたけれど、2年目となればだいぶこの生活にも慣れた。

それは私だけではなく2年生みんなそうなのか、先生たちは口酸っぱく、たるんでる、中だるみだ、なんて言っている。

それでも楽しい学校生活を送れるのは、瑠璃や悠太たち、友達のおかげだ。


「ふぁ~」

つまらない古典の授業中、大きなあくびが出た。

グラウンドと、綺麗な空を見る。

窓側の一番後ろの席で、前には瑠璃。
この間の席替えで見事にあたりの席をゲットした。


悠太、ちゃんと授業聞いてるのかなぁ~。

課題、またやってなかったみたいだけど、今度のテスト大丈夫なのかな。


幼いころから、サッカーに一筋の悠太。

勉強なんていつも後回し。

けれど要領が良いのか、何なのかは分からないけれど、サッカー漬けの割にはうまいことやっている。


「ふぁ~」

またあくびが出た。


ずっと悠太とは一緒だった。いつも隣には悠太がいた。

楽しい時も嬉しい時も悲しい時も、いつも悠太。


外じゃクールに決めてるくせに、実は甘えん坊の寂しがり屋。

負けず嫌いで、サッカーが大好きで、優しくてイイ奴。


悠太のことは1番私が知っていると思ってる。


そしてそんな私は幼いころから、悠太のことがずっと好き。

私の頭の中は、いつも悠太のことでいっぱいだった。


そんなことを考えていたら、「岩崎ー聞いてるのか?」と怖い顔で注意をされてしまった。


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