君が居る世界
「これって、メッセージ付きのスノードームでしょう? この前テレビで言ってたよ。伝えたいメッセージをスノードームの中にこっそり忍ばせておくんだって」
「え…、そうなのか? 俺、全然知らずに選んだんだけど」
「えっ! じゃ、じゃあ、このメッセージってリョウスケの気持ちじゃないの?」
「気持ちも何も、そんな仕組みになってること自体知らなかった」
そう言うと、ユウナの顔はみるみるうちに青ざめて、それから湯気が出るんじゃないかと思うくらい顔と耳が真っ赤になった。
「あ、ありえないっ!! てっきりメッセージのことも知ってると思ってたのに!」
「別に知らなくてもいいだろ? おまえ、これ気に入ってくれたみたいだし」
「そ、それはそうだけど…」
「…つうか、この文字、何て書いてあんの? 俺、筆記体の文字は読めねーんだ」
「読めないなんて、ありえない…。でも、読めないからこそ平気でこれを選べたんだよね……うん」
ユウナはぶつぶつと呟くと、一人で頷きながら納得している。
放置された俺は首の後ろのを掻きながら、もう一度首を傾げた。