君が居る世界
いくら俺と幼馴染で部活のマネージャーだからって、そこまでしてくれる必要はない。
だけどユウナは、ユウナ自身の気持ちで付き合ってくれている。
俺はその気持ちにすごく感謝してるし甘えてしまっているから、ユウナに風邪を引かせてしまうのはとても申し訳ない。
いくらなんでも……好きな女に自分のせいで風邪を引かせてしまうのは、良い気分はしないしな。
ユウナは自分の首元を数秒間だけ見つめてから顔を上げて、頬を綻ばせた。
「…ありがと。すごく温かいよ!」
「…ん。どういたしまして」
ユウナの前だから強がっていたけれど、本音を言うと首がスースーして寒い。
いくら幼い頃より寒さに強くなったとはいえ、寒いものは寒い。
苦手であることには変わりない。
だけど素直に俺の物を借りて笑うユウナを見ていたら、ありきたりだけど寒さなんてすぐに吹き飛んだ。
ユウナが喜んでくれたからこそ、これで良かったと思えるんだ。