君が居る世界
「…メリークリスマス、リョウスケ」
手が頭に届くのと同時にユウナが手鏡を俺に向けていて、俺はぬくもりの正体を知った。
深緑色に白色のストライプが入った、ニット帽。
それが俺のゴツゴツした丸坊主の頭に、ぴったりとフィットしていた。
「これ…」
「クリスマスプレゼントだよ。いつも頭が寒そうな、いかついおっさんへのね」
「ははっ、なんだよそれ」
口と顔では笑っているものの、本当は泣いてしまいそうなほど嬉しかった。
ユウナとは幼い頃からよくクリスマスプレゼントを交換していて、もちろん中学生だった去年までも交換をしていた。
…でも、さすがに今年は交換しないと思っていた。
もう高校生だし、ユウナだって俺以外の男でプレゼントを上げたいと思う人が出来ていたっておかしくないと思っていたし。
……だけど、ユウナは今こうやって俺にプレゼントをくれた。
希望をなくしていた分、この展開はマジで泣きそうだ…。