君が居る世界
「…あれ、どうしたの? きょとんとしちゃって」
「いや、だってさ…。今年はくれないと思ってたから」
「なんで? そんなわけないじゃん。毎年あげてるのに、今さらやめたりしないよ」
ユウナは知らない。
俺が今日をどんな気持ちで待っていたかなんて。
だからこそそんなことを言ったのだろうけど、今はそれを聞けただけで十分だった。
たとえ今は、二人の関係が幼馴染のままだとしても……。
「それ、サイズ大丈夫?」
「おう。めっちゃフィット感」
「良かった! ニット帽は初めて手編みしたんだけど、頭のサイズって分かりにくくて…。ちょっと不安だったけど、大丈夫みたいで良かった」
「むしろ俺の方が良かったし。頭が寒いなーとは、思ってたから。…ありがとな。これ、すげー気に入った!」
ユウナはよくクリスマスプレゼントに、手編みのものをくれた。
でもニット帽は初めてで、ましてや俺のこと(っていうか頭だけど)を考えて編んでくれたもの。
今年はなんだか、それだけで特別な感じがした。