学園怪談2 ~10年後の再会~
 ……。
「おい、ジロー。こっちこっち!」
「ワンワン!」
 戦争が終わってまだ間もない日本。近代化への歩が徐々に始まって来ているとはいえ、忙しいのは大人たちであって、自分たち子供は毎日遊ぶ事だけを考えていればそれでよかった。
「おい小野田、もうすぐ雪が降る季節だろう? 雪が降ったら裏山に行ってソリで遊ぼうぜ」
 ……戦争の為に父親と離れて田舎へ引っ越してきた小野田にとって、この一郎とジローの存在は掛け替えのないものになっていた。
「へえ雪かあ。東京じゃあそんなに積もったりしないからな。ジロー、お前も雪が好きか?」
「ワンワン! ワオオン!」
 元気よく、嬉しそうに吠えるジローがまた愛らしく、小野田と一郎、そしてジローは毎日毎日、日が落ちるまで真っ黒になって遊んだ。
 ……それから1ヵ月後。
 一郎君の言った通り、辺りは一面の銀世界に変わった。
「うわあ! 凄いや」
 ……初めて見る一面の銀世界に、お祖父さんは大興奮だった。話に聞いてはいたものの、まさか家の2階から出なければならない程に降り積もるとは夢にも思っていなかったからだ。
「お~い小野田。雪下ろししようぜ。んでもって、その雪を使ってカマクラ作ったり滑り台を作るんだ」
「ワンワン!」
「す、凄い! やるやる、やるよ!」
 都会育ちには毎日が新鮮な日々だった。特に雪遊びは今までにやったどんな遊びよりも彼を夢中にさせてくれた。
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