学園怪談2 ~10年後の再会~
「……ねえ、本当にこっちであってるの?」
寒さと空腹で、泣きそうになりながら小野田は尋ねる。
「……たぶんな」
一郎は振り返らずに答えたが。その声にはもう自信のかけらも感じられなかった」
「たぶんってなんだよ! お前、山には詳しいんだろう! お前がこっちだって言ったから歩いて来たんじゃないのかよ! 違ってたらどうすんだよ!」
「う、うるさい、うるさい! 元はと言えばお前が知らない山に遊びに行こうなんて言い出したから、こんな事になったんじゃないか!」
「なにおう!」
二人は初めて取っ組み合いのケンカをした。
ゴロゴロと雪の上を転がり、お互いを罵倒しあった。やり場のない怒りと、押し潰されそうな不安が二人を突き動かしていた。
「ワウウ! ウオオオン!」
二人の間に割って入って来たのはジローだった。キバを剥き出しにし、鋭い目つきをしている。今までに見せた事のない怖い表情をしている事から、ジローが二人のケンカをやめさせようとしている事は明らかだった。
……その時だった。
ゴゴゴゴ。
遠くから何か地響きのような音が聞こえてくる。
「な、なんだあの音は?」
山の上の方を不思議そうに見る小野田に対して、一郎の顔は雪の中でも分かる程に青ざめていく。
「ワオオオン! ワオオオオン!」
「大変だ! な、雪崩がくる! 逃げろおお!」
一郎は小野田の腕を掴むと、転がるようにして傾斜を下っていく。
「な、な、雪崩って、本当に来るのかよ!」
小野田は全力疾走しながらも大声で一郎に問いかける。
「間違いない! 雪崩のスピードは凄く早いし、飲み込まれたら一巻の終わりだ!」
その声を肯定するかのように、地響きは次第に大きくなっていく。
ゴゴゴゴゴ!
「うわあ! もう来た!」
一郎の声に振り返った小野田が見たものは、自分たちに向かって襲い掛かる轟音を伴った白い壁だった。
その後、二人に激しい衝撃が走った。白い壁がぶち当たり、木々をなぎ払って崖へと転げ落ちる。
「うわあああ!」
ズザザザザ。
……谷あいに入ったためか静寂が訪れた。
寒さと空腹で、泣きそうになりながら小野田は尋ねる。
「……たぶんな」
一郎は振り返らずに答えたが。その声にはもう自信のかけらも感じられなかった」
「たぶんってなんだよ! お前、山には詳しいんだろう! お前がこっちだって言ったから歩いて来たんじゃないのかよ! 違ってたらどうすんだよ!」
「う、うるさい、うるさい! 元はと言えばお前が知らない山に遊びに行こうなんて言い出したから、こんな事になったんじゃないか!」
「なにおう!」
二人は初めて取っ組み合いのケンカをした。
ゴロゴロと雪の上を転がり、お互いを罵倒しあった。やり場のない怒りと、押し潰されそうな不安が二人を突き動かしていた。
「ワウウ! ウオオオン!」
二人の間に割って入って来たのはジローだった。キバを剥き出しにし、鋭い目つきをしている。今までに見せた事のない怖い表情をしている事から、ジローが二人のケンカをやめさせようとしている事は明らかだった。
……その時だった。
ゴゴゴゴ。
遠くから何か地響きのような音が聞こえてくる。
「な、なんだあの音は?」
山の上の方を不思議そうに見る小野田に対して、一郎の顔は雪の中でも分かる程に青ざめていく。
「ワオオオン! ワオオオオン!」
「大変だ! な、雪崩がくる! 逃げろおお!」
一郎は小野田の腕を掴むと、転がるようにして傾斜を下っていく。
「な、な、雪崩って、本当に来るのかよ!」
小野田は全力疾走しながらも大声で一郎に問いかける。
「間違いない! 雪崩のスピードは凄く早いし、飲み込まれたら一巻の終わりだ!」
その声を肯定するかのように、地響きは次第に大きくなっていく。
ゴゴゴゴゴ!
「うわあ! もう来た!」
一郎の声に振り返った小野田が見たものは、自分たちに向かって襲い掛かる轟音を伴った白い壁だった。
その後、二人に激しい衝撃が走った。白い壁がぶち当たり、木々をなぎ払って崖へと転げ落ちる。
「うわあああ!」
ズザザザザ。
……谷あいに入ったためか静寂が訪れた。