学園怪談2 ~10年後の再会~
第83話 『トンネルの自縛霊』 語り手 赤羽加奈子

 次の怪談に入る前に赤羽先生が手を挙げた。
「あ、次の話は私が話すわ」
「え、でも先生はさっきのツアーで階段のクライマーの話をしたじゃありませんか」
 紫乃さんの言葉に先生はペロッと舌を出して続けた。
「へへ、あのね。実は今夜、新しい彼氏からデートのお誘いが入ってるんだ。もう迎えにきちゃうからさあ、最後に私からもう一話だけ話しておくよ、ごめんね」
 ふ~む、赤羽先生は離婚しても前向きな女性だなあ。なんで前の旦那さんは先生と離婚してしまったんだろう。こんなに素敵な女性なのに。
「これは私が今の彼……えへへ、もうすぐ迎えに来る彼に誘われて出かけた心霊スポットでのお話なの」
 10年ぶりの怪談での、赤羽先生最後の話が紐解かれた。

 ……。
 離婚してしばらくしてから、私は大学時代の独身の女友達2人と一緒に、海水浴アンド温泉旅行に来ていた。
「加奈子ったら大胆なビキニ着て~、まだまだ次を狙ってるな!」
「そういうナッちゃんだって、新作の水着じゃないのそれ! どこまで足を露出させる気なのよ! ほれほれ!」
「きゃあ、やめてよ本当に~」
「はいはい、二人とも少しは落ち着いて下さいね」
「う!」
「は~、完璧なボインちゃんね睦は」
 私たちは大学時代から仲の良かった3人。明るくて美人なナッちゃん。おしとやかなメガネ巨乳美人の睦。
 いつも仲良しな3人で、大学時代は授業やサークル、長期の休校時には海外への旅行なんかも一緒に行った仲なの。
「ねえ、ちょっとちょっと」
 そんな私たち3人組に声を掛けてきた男がいたの。
「あ、は~い」
 元気よくナッちゃんが振り向き、3人組の日焼けした男たちに答える。
「お姉さんたちお暇? 俺たちと一緒に泳ぎません?」
 私たちよりも何歳か若い感じがした。おそらくは大学生だろう。どこか幼さの抜けきらないあどけない顔立ちは少し可愛らしくも見えた。
「え~、どうしよっかな~」
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