学園怪談2 ~10年後の再会~
第84話 『幽霊の色』語り手 山崎大介

 赤羽先生が去り、教室内は私と語り手のみなさん7名に戻った。10年前に怪談を開始したメンバー。何か昔に少しずつ戻っているような懐かしさを感じる。
「さて、俺の話だな。今回は俺の友人についての話をしよう」
 大ちゃんさんは咳払いを一つすると、話を始めた。
「俺の高校時代の後輩で八木沢っていう後輩がいるんだけどね、こいつはある特殊な能力を持ってるんだ」
 ……。
 高校2年の春。怪談とは縁のない季節のように思えるこの時期に、俺は後輩で当時の一年生である八木沢の、この能力を知った
「俺……幽霊の色が見えるんです」
 その突拍子もない発言に部員全員が笑い転んだ。
「あっはっは、ひ~、八木沢! 面白いよおまえ」
「いや~顔に似合わないナイスな発言だな、おい」
 春休みの野球部グラウンド。3年生はなく、1、2年のみで構成される時期だからか俺たちは全員仲が良かった。そんな中、今時いないほど生真面目で礼儀正しい少年の八木沢。普段からおとなしく、野球部だけでなく学校の生徒の模範ともいうべき彼の発言だけに、一瞬はみんな黙ったものの、そのギャップから来る可笑しさから爆笑へと発展した。
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