学園怪談2 ~10年後の再会~
 ……夕方。まだ陽が落ちるのは早く、寒さも残るので6時に練習は切り上げられた。部室で着替える部員たちの中で、俺は昼間に八木沢が言っていた事が気になったので話しかけてみた。
「あのさ八木沢、どうなんだよ……その、お前の幽霊が見えるっていう話は本当に?」
 眼鏡をかけた八木沢は俺を一瞬ジッと見つめた後、ニコリとほほ笑みながら答えた。
「ええ本当です。まあ形ははっきりしないんですけど、なんて言うか……オーラみたいな物で見えるんです色々な色で」
「色?」
 俺の問いかけに八木沢は部室の入り口付近を指差した。
「先輩、入口に何かみえませんか?」
 その言葉に一瞬ギクリとしつつ、入口を振り返る……何もない。ドア付近に置かれている幾つかのグローブとボールを入れた箱、バットが数本壁に立て掛けられている他は俺の目には何も映らない。
「いますよ……そこに」
 心臓が数センチ飛び出した気がした。途端にドクドクと血流が速くなるのを感じた。
「いるって、本当に?」
「はい……青ですね」
 その言葉の意味はわからない。しかし八木沢の落ち着いた口調からすると心配はないもののようだが。
「それは……どういう状態なんだ?」
「まあ、問題ないですね。通常はあちこちに浮遊する幽霊たちは青色です。この色の幽霊たちは全くもって無害なので気にする必要はありません」
 にわかには信じられない話だが、着替え終わった部員たちが問題の出入り口から帰っていく姿を見る限り変わったところはない。
「じゃ、じゃあ他にはどんなのがいるんだ?」
 俺は部室を八木沢と一緒に出ながら、興味をどんどん覚えていく自分を抑えられずに聞いた。
「そうですね……あ、自転車置き場のとこに緑色がいますね」
 俺は八木沢の言う自転車置き場を見た。
< 200 / 296 >

この作品をシェア

pagetop