学園怪談2 ~10年後の再会~
 そこにはいくらか自転車が残っており、そのうちの一台に野球部1年生の城之内が乗ろうとしていた。
「うわあ!」
 俺の目の前で、城之内が自転車操作を誤って倒れた。
「だ、大丈夫か?」
 俺は近寄ろうと思ったが、その場所に八木沢のいう幽霊がいると思うと足が前に出て行かなかった。
「あ、大丈夫です。ちょっとつまずいたみたいで、先輩失礼します。お疲れ様でした」
 城之内に大きな怪我はなかったようで、照れ笑いを浮かべながら去って行った。
「……やっぱり幽霊がいたのか?」
「間違いないですね」
 淡々と語る八木沢に俺は少しばかりの恐怖を覚えた。
「先輩。何もないところで急につまづいたり、見通しのいい場所の筈なのに車のハンドル操作を誤ったり、不意に貧血のように具合が悪くなる……誰でも原因がよくわからずに危険な目に遭う事ってありますよね? 実はそれらには幽霊の色が関係していることがほとんどなんです」
 普段なら笑い話にもならないネタだが、先ほどの現実を目の当たりにしては認めない訳にはいかない。
「そ、そんなに色んな場所に得体のしれない幽霊ってウヨウヨしてるものなのか?」
 なんか、この世のどこも危ない場所に思えてきて俺は不安になった。
「いえ、そこまででもないですよ。それに本当に幽霊は青色ばかりです。今回はたまたま緑が近くにいましたが、緑にしたって数百メートルに一つくらいしか見ません。それらについても基本は何も起こらないんですよ。せいぜい城之内君くらいの事故があるだけです」
 俺は気になっていたことを聞いてみた。
「じゃ、じゃあ幽霊が人間に対して危害を加えているのは間違いないんだな?」
 
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