学園怪談2 ~10年後の再会~
 しかし、あれだけの恐怖体験をしても八木沢の言う赤い幽霊とは比べ物にならないとは……。そんな八木沢が既に2回も赤い幽霊を見ているとは驚きでならなかった。

 ……。
「そんなエピソードがあったんですか。じゃあ大ちゃんさんは今までに本当に赤い幽霊は見てないんですね?」
 私の問いかけに不敵な笑みで答える。
「はは……年々、俺の霊感は上がっているのかな。小さな赤なら何度かみかけたよ。ああ、それとさ……八木沢は死んだよ」
 不意をつく大ちゃんさんの発言に私は耳を疑った。
「な、なぜですか?」
 私は身を乗り出して尋ねる。
「殺されたんだよ。ある日、家に押し入ってきた強盗に……ってことになってる。ただ、犯人は見つかってないんだ。何せ凶器も無いし、死因にも不明な点が多かったらしくてね。だからもしかしたら事故の可能性もあるって話さ……ただ……」
「ただ?」
「俺が今でも気になってることは、最後に八木沢はどんな赤い色をみたんだろうということさ。自分が死ぬ時の赤い色……きっと誰かが死ぬ時に見える赤とは違うハズだ。俺は今、その赤い色が気になってしかたないのさ」
 大ちゃんさんの話が終わった。最後に彼が放った言葉に一瞬空気が凍ったが、すぐに『冗談、冗談だってば』と言っていた。
……しかし、私は見逃さなかった。その言葉を言った時の彼の瞳は決して笑っていなかったことを。

残り16話

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