学園怪談2 ~10年後の再会~
第87話 『訳あり物件』 語り手 能勢雅亮

 さて、しんみりしたところで、能勢さんの出番だ。
「悪いけど、また怖い話に戻らせてもらうからね」
 どうやら能勢さんの話は心して聞く必要があるらしい。
「いったいどんな話なんですか? なんか紫乃さんの話の後なので、怖い話が早く聞きたいんですが」
 私はいつになく急かす自分に驚きを感じていた。それは日付が変わり、完全な深夜に突入したため、気分が高揚しているせいかもしれない。
「ふふ。じゃあ話そうか。これは俺が引っ越したアパートで起きた実話なんだけどね・・・」

 ……。
 家賃がやたらと安い物件ってあるじゃん。都内で日当たりも良くて2DKなのに3万円台とかさ。……まあ、つまりは訳あり物件ってやつだね。近隣に公害があるとか、迷惑な住人が近所に住んでるとかさ。でもね、やっぱり一番深刻なのは殺人事件や自殺があったり、心霊現象の巣窟となってしまっている物件さ。もちろん大手の不動産会社とかは過去に不吉な事件が起こった物件は勧めない。それを知らずに契約した客があとあと文句を言いださないためにもね。でもさ、個人経営なんかの古くから地域に根付いた不動産屋なんかには……あるんだな~、究極の訳あり物件が。
< 218 / 296 >

この作品をシェア

pagetop