学園怪談2 ~10年後の再会~
……。
「今度隣に引っ越してきた能勢です。よろしくお願いします」
荷物がある程度片付いた俺は、頃合いを見て挨拶回りをした。
1階の角部屋に入ったので、すぐ隣と2階の住民の部屋を訪ねた。
「ああ、またか。頑張ってね」
2階は留守だったので、また違う日に行くことにしたが、となりに住んでいたのは眠そうな目をした老けた感じの男だった。俺は彼の意味深な発言が妙に気にかかった。
「またって……どういう意味ですか?」
俺の質問に男は顔色一つ変えずに続けた。
「その部屋に引っ越してくる奴はいつも早くに幽霊を見たとか言って引っ越しちゃうからな。兄ちゃんもせいぜい頑張ってな。どれだけもつか期待してるからさ」
……また夜が来た。
その日は早めに床に就いた俺だったが、例の暗闇が気になってしまい浅い眠りを続けた。そして夜中の3時を過ぎた頃だったろうか。
ボウウウ。
まただ。昨日と同じように、押入れの中の暗闇が揺れ始めた。
「なるほどね。確かに毎日のようにこんな現象が起こったら、ここに住む人は精神的に参っちゃうよな。きっとこの影の揺れは見えなくても、四六時中を誰かに見られている気配はするだろうし」
俺は自分の霊感が無くなった訳ではない事を確信して、押入れの暗闇に近寄った。
暗闇は相変わらずユラユラと揺れていたが、俺は迷わずに押入れの中に手を伸ばした。
キィィィィィン。
……俺の頭の中に、洪水のように何かの思念が流れ込んでくる。
「今度隣に引っ越してきた能勢です。よろしくお願いします」
荷物がある程度片付いた俺は、頃合いを見て挨拶回りをした。
1階の角部屋に入ったので、すぐ隣と2階の住民の部屋を訪ねた。
「ああ、またか。頑張ってね」
2階は留守だったので、また違う日に行くことにしたが、となりに住んでいたのは眠そうな目をした老けた感じの男だった。俺は彼の意味深な発言が妙に気にかかった。
「またって……どういう意味ですか?」
俺の質問に男は顔色一つ変えずに続けた。
「その部屋に引っ越してくる奴はいつも早くに幽霊を見たとか言って引っ越しちゃうからな。兄ちゃんもせいぜい頑張ってな。どれだけもつか期待してるからさ」
……また夜が来た。
その日は早めに床に就いた俺だったが、例の暗闇が気になってしまい浅い眠りを続けた。そして夜中の3時を過ぎた頃だったろうか。
ボウウウ。
まただ。昨日と同じように、押入れの中の暗闇が揺れ始めた。
「なるほどね。確かに毎日のようにこんな現象が起こったら、ここに住む人は精神的に参っちゃうよな。きっとこの影の揺れは見えなくても、四六時中を誰かに見られている気配はするだろうし」
俺は自分の霊感が無くなった訳ではない事を確信して、押入れの暗闇に近寄った。
暗闇は相変わらずユラユラと揺れていたが、俺は迷わずに押入れの中に手を伸ばした。
キィィィィィン。
……俺の頭の中に、洪水のように何かの思念が流れ込んでくる。