学園怪談2 ~10年後の再会~
 ……。
 能勢さんの話が終わり、私は『平和ボケした日本人』という記事をいつか見た事を思い出した。
「あと、数十年もしないうちに、戦争を体験した日本の先輩は一人もいなくなってしまう。でも、俺達一人一人が、終戦記念日なんかで彼らの事を偲び、自分のできることから少しずつ平和を考えれば、過去の先輩たちの供養にもなる。そして、意思は必ず子孫へと受け継がれる」
 能勢さんの怪談に、私たちは様々なことを考えさせらる事となった。
「ありがとうございました能勢さん。それから部屋は何も?」
 私の問いかけに笑顔で応える。
「うん。もう何も出ない。へへ、大家さんには内緒だけどね。じゃないと家賃が上がっちゃうからさ。武光さんは今でもまだ元気だよ。地方への戦争の記録を後世に伝える活動を続けているみたい。元気なお爺ちゃんだ」
 その話にほのぼのとさせられつつ、怪談は次へとバトンタッチされるのだった。

残り13話

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