学園怪談2 ~10年後の再会~
……。
「おえ~っ。ぐえええ」
やはり漁師の仕事は甘くなかった。船にまともに乗ったことすらない俺を待っていた最初の試練は、船酔いとの戦いだった。
とにかく揺れる揺れる。体は船外に放り出されないよう常に踏んばるし、脳みそが揺さぶられて頭痛と吐き気が酷かった。
「頑張れ石田。辛いのは最初の2週間くらいだぞ。この辺りの海ならそれくらいの期間があればお前には克服できる筈だ」
先輩は顔色一つ変えず、一人で黙々と作業を続ける。網を使った仕掛けとポイントによっては一本釣りをする。漁師や河岸用語なのだろうか? 普段は耳にしない名前の魚を次々と揚げていく。
「ぐええ、マジ無理だあああ」
俺の格闘は続いた。
……。
「海よ~、オイラの海よ~」
それから2週間後。先輩の言ったとおり、俺は簡単な作業なら苦もなく手伝える程に成長した。初日からしばらくは全身の筋肉痛と、連日の嘔吐で辞めようとどれだけ思ったことか。しかし先輩のメンツを守るため、そして紫乃のお腹に宿った……新しい命のためにも本格的に腰を落ち着けなくてはという気持ちが、ずっと俺の支えだった。
それからしばらくは順調に漁は続いた。
……しかし。
「ん? 先輩、その魚はなんすか?」
ある日、俺は先輩がクレーンで引き揚げた網の中に、見慣れない色をした魚を見た。
俺に背を向けていた先輩は、俺の言葉に応えることなく魚を海に放り出した。
「あ!」
……大きさは30センチ~50センチくらいだっただろうか? 色はオレンジ色に見えた気がした。鯛か何かののい一種だろうか?
「何でもない。ここらでは捕獲を禁止している種類の魚だったから海に帰しただけだ」
……違和感を感じた。
「おえ~っ。ぐえええ」
やはり漁師の仕事は甘くなかった。船にまともに乗ったことすらない俺を待っていた最初の試練は、船酔いとの戦いだった。
とにかく揺れる揺れる。体は船外に放り出されないよう常に踏んばるし、脳みそが揺さぶられて頭痛と吐き気が酷かった。
「頑張れ石田。辛いのは最初の2週間くらいだぞ。この辺りの海ならそれくらいの期間があればお前には克服できる筈だ」
先輩は顔色一つ変えず、一人で黙々と作業を続ける。網を使った仕掛けとポイントによっては一本釣りをする。漁師や河岸用語なのだろうか? 普段は耳にしない名前の魚を次々と揚げていく。
「ぐええ、マジ無理だあああ」
俺の格闘は続いた。
……。
「海よ~、オイラの海よ~」
それから2週間後。先輩の言ったとおり、俺は簡単な作業なら苦もなく手伝える程に成長した。初日からしばらくは全身の筋肉痛と、連日の嘔吐で辞めようとどれだけ思ったことか。しかし先輩のメンツを守るため、そして紫乃のお腹に宿った……新しい命のためにも本格的に腰を落ち着けなくてはという気持ちが、ずっと俺の支えだった。
それからしばらくは順調に漁は続いた。
……しかし。
「ん? 先輩、その魚はなんすか?」
ある日、俺は先輩がクレーンで引き揚げた網の中に、見慣れない色をした魚を見た。
俺に背を向けていた先輩は、俺の言葉に応えることなく魚を海に放り出した。
「あ!」
……大きさは30センチ~50センチくらいだっただろうか? 色はオレンジ色に見えた気がした。鯛か何かののい一種だろうか?
「何でもない。ここらでは捕獲を禁止している種類の魚だったから海に帰しただけだ」
……違和感を感じた。