学園怪談2 ~10年後の再会~
第90話 『お迎えおばさん(前編)』 語り手 私
気がつけば深夜の2時だ。いわゆる丑三つ時。霊が一番集まりやすい時間。怪談も佳境に入り、我々の残り時間はどれだけ残されているのか……。楽しくて怖くて、もうやめたいようで、続けたくて。そんな怪談はまだ続く。
「そろそろ私も少し話したくなってきました。丑三つ時一番乗りは私に任せてもらえませんか?」
私は椅子から立ち上がると一人一人の目を見回した。
「君から話をするなんて意外だな。ぜひきかせてくれよ」
大ちゃんさんの言葉に私はうなずき、私の頭に収められている数々の話の中から一つをピックアップした。
「では始めます」
……。
みなさんは『お迎えおばさん』って知ってますか? 昨今の子供たちを狙った悪質な犯罪が増える中で、各地方の小中学校を中心に、自分の子供を学校まで迎えに来る親が急増しています。そんな中で……あるんです。新たな怪談物語が。
……ある日のことです。わたしの母校でもある小学校で、一人の生徒が下校途中に何者かに殺害されるという痛ましい事件が起きました。もちろん警察は不審者の捜索、生徒の家族や親せき、友人関係までを洗い犯人逮捕に乗り出しました。
しばらくはニュースやワイドショーのネタにもなりましたが、新たな事件が起きればすぐに忘れられてしまう……そんな印象の薄い事件だったのかもしれません。
「違うよ! ヨシくんは連れて行かれたんだから! 変な半分だけ赤くて半分だけ黄色い傘をさしたおばちゃんに!」
何気なく小学校の付近を通りかかった私は、そこで遊ぶ数人の子供たちとお母さんたちの会話の中で気になる会話を耳にした。
「なに言ってるのよこの子ったら」
「本当だもん! 僕見たんだから。ヨシくんは暗くなるまで学校で遊んでいて、変なおばちゃんに連れて行かれたんだよ。そしたら……そしたら死んじゃったんだもん。そのおばちゃんが殺したんだよ! 絶対にそうだよ!」
気がつけば深夜の2時だ。いわゆる丑三つ時。霊が一番集まりやすい時間。怪談も佳境に入り、我々の残り時間はどれだけ残されているのか……。楽しくて怖くて、もうやめたいようで、続けたくて。そんな怪談はまだ続く。
「そろそろ私も少し話したくなってきました。丑三つ時一番乗りは私に任せてもらえませんか?」
私は椅子から立ち上がると一人一人の目を見回した。
「君から話をするなんて意外だな。ぜひきかせてくれよ」
大ちゃんさんの言葉に私はうなずき、私の頭に収められている数々の話の中から一つをピックアップした。
「では始めます」
……。
みなさんは『お迎えおばさん』って知ってますか? 昨今の子供たちを狙った悪質な犯罪が増える中で、各地方の小中学校を中心に、自分の子供を学校まで迎えに来る親が急増しています。そんな中で……あるんです。新たな怪談物語が。
……ある日のことです。わたしの母校でもある小学校で、一人の生徒が下校途中に何者かに殺害されるという痛ましい事件が起きました。もちろん警察は不審者の捜索、生徒の家族や親せき、友人関係までを洗い犯人逮捕に乗り出しました。
しばらくはニュースやワイドショーのネタにもなりましたが、新たな事件が起きればすぐに忘れられてしまう……そんな印象の薄い事件だったのかもしれません。
「違うよ! ヨシくんは連れて行かれたんだから! 変な半分だけ赤くて半分だけ黄色い傘をさしたおばちゃんに!」
何気なく小学校の付近を通りかかった私は、そこで遊ぶ数人の子供たちとお母さんたちの会話の中で気になる会話を耳にした。
「なに言ってるのよこの子ったら」
「本当だもん! 僕見たんだから。ヨシくんは暗くなるまで学校で遊んでいて、変なおばちゃんに連れて行かれたんだよ。そしたら……そしたら死んじゃったんだもん。そのおばちゃんが殺したんだよ! 絶対にそうだよ!」