学園怪談2 ~10年後の再会~
キキーッ!
オカケンの運転する車が急ブレーキを踏んだ。
「うあっ! おい、危ねえじゃねえ……」
抗議しようとした俺の目に飛び込んできたのは山道でも少し開けたスペースにあった小さな御堂だった。いや、御堂というほど立派なものでもない、ただ地蔵様が数対並んでいるだけの祠ぐらいの屋根と言った方が正しいようだ。
「ちょっと寄って行こうぜ」
オカケンはそう言うと、薄暗い外灯に照らされた簡易駐車スペースに車を移動させる。
普段なら気にも留めずに通り過ぎる場所なのだろう、この暇な旅、さっきまでの空気が俺たちを呼びとめたに違いなかった。
車を降りて地蔵様に近づくと……その異様な出で立ちに俺たちは度肝を抜かれた。
「なんだよ、こりゃあ!」
……地蔵様は全部で5体、少し大きいのや小さいの、赤い頭巾を被っているのや、杖を持っているものまで様々だった。それだけなら珍しくもないが、よく見ると地蔵様はどれも体の一部が欠けていた。
右手、左手、右足、左足……そして顔。いや、欠けている訳ではなかった。ツルツルした摩擦の後を見ると、どうやら長い時間をかけて少しずつ削られていったのだとわかった。
「お、ここに説明書きがある、なになに……『たたり地蔵。その昔、この先の峠には人を食らう魔物が棲んでいるとされていた。しかし人々はそれでも越後に行くために地蔵に安全祈願をして峠を越えて行った。この地蔵に触り、差し出した体の部位のみを贄とする事で生きながらえたのだ』……だとさ」
……この先の峠に魔物。
俺たちは少し不安になりつつも、古い迷信なんて信じるつもりはなかった。だから地蔵様にもとくに触る事はしなかった。
「おい、もう行こうぜ」
ここで運転手の交代をした。オカケンを助手席に乗せ、俺は愛用のグローブを着け運転席に座ると、車をゆっくりと発進させた。
オカケンの運転する車が急ブレーキを踏んだ。
「うあっ! おい、危ねえじゃねえ……」
抗議しようとした俺の目に飛び込んできたのは山道でも少し開けたスペースにあった小さな御堂だった。いや、御堂というほど立派なものでもない、ただ地蔵様が数対並んでいるだけの祠ぐらいの屋根と言った方が正しいようだ。
「ちょっと寄って行こうぜ」
オカケンはそう言うと、薄暗い外灯に照らされた簡易駐車スペースに車を移動させる。
普段なら気にも留めずに通り過ぎる場所なのだろう、この暇な旅、さっきまでの空気が俺たちを呼びとめたに違いなかった。
車を降りて地蔵様に近づくと……その異様な出で立ちに俺たちは度肝を抜かれた。
「なんだよ、こりゃあ!」
……地蔵様は全部で5体、少し大きいのや小さいの、赤い頭巾を被っているのや、杖を持っているものまで様々だった。それだけなら珍しくもないが、よく見ると地蔵様はどれも体の一部が欠けていた。
右手、左手、右足、左足……そして顔。いや、欠けている訳ではなかった。ツルツルした摩擦の後を見ると、どうやら長い時間をかけて少しずつ削られていったのだとわかった。
「お、ここに説明書きがある、なになに……『たたり地蔵。その昔、この先の峠には人を食らう魔物が棲んでいるとされていた。しかし人々はそれでも越後に行くために地蔵に安全祈願をして峠を越えて行った。この地蔵に触り、差し出した体の部位のみを贄とする事で生きながらえたのだ』……だとさ」
……この先の峠に魔物。
俺たちは少し不安になりつつも、古い迷信なんて信じるつもりはなかった。だから地蔵様にもとくに触る事はしなかった。
「おい、もう行こうぜ」
ここで運転手の交代をした。オカケンを助手席に乗せ、俺は愛用のグローブを着け運転席に座ると、車をゆっくりと発進させた。