学園怪談2 ~10年後の再会~
……そして、車は走り出した。
数分の間、車内で誰も喋らず緊迫した空気が流れていたが、女性の不意な言葉に事態は風雲急を告げた。
「大変! あいつが来たわ!」
彼女の声にバックミラーを確認すると、一台のワゴン車が猛スピードで近づいてくるのが見えた。
「あいつって? 誰?」
オカケンの言葉に、女性は恐怖の混じった声で答える。
「彼! 彼が追いかけてくるわ! きっと私がこの車に乗り込むのを見たのよ、ダメ、きっと私は殺されるわ! 逃げて、お願い逃げて!」
その悲鳴にも似た声に気圧されながら、俺はアクセルを踏み込んだ。
「大丈夫だって! 何なら俺たちが話をしてやろうか?」
「ダメ! 彼は凄く嫉妬深いの! 捕まったら私だけじゃなく、あなたたちまで殺される! だからこのまま逃げて、振り切って!」
車はみるみる近づいて来たが、暗くてバックミラーでは相手の顔などは確認出来ない。パッシングの光やクラクションの音も聞こえる。
「もっと飛ばせ大介! このままじゃ追いつかれちまう」
オカケンは後ろを気にしつつ、俺に指示を出す。
「言われなくてもめいいっぱい踏み込んでるよ!」
俺は確かにアクセルを踏み続けていた。でも何ぶん初めて走る道だ。それに山道という事もあり、車線は狭い2車線がつづら折れになって続いている。いくら軽自動車とはいえ、これ以上スピードを出してはカーブを曲がり切るのは難しい。もしもカーブ時に対向車が来たりすれば衝突は避けられない状況だ。
キキーッ!
「きゃああ!」
「うわああああ」
車が揺れる。運転免許を取り立ての不安定な運転で、この山道の走行はレベルがかなり高い。加えてワゴンは激しいパッシングを続ける。
数分の間、車内で誰も喋らず緊迫した空気が流れていたが、女性の不意な言葉に事態は風雲急を告げた。
「大変! あいつが来たわ!」
彼女の声にバックミラーを確認すると、一台のワゴン車が猛スピードで近づいてくるのが見えた。
「あいつって? 誰?」
オカケンの言葉に、女性は恐怖の混じった声で答える。
「彼! 彼が追いかけてくるわ! きっと私がこの車に乗り込むのを見たのよ、ダメ、きっと私は殺されるわ! 逃げて、お願い逃げて!」
その悲鳴にも似た声に気圧されながら、俺はアクセルを踏み込んだ。
「大丈夫だって! 何なら俺たちが話をしてやろうか?」
「ダメ! 彼は凄く嫉妬深いの! 捕まったら私だけじゃなく、あなたたちまで殺される! だからこのまま逃げて、振り切って!」
車はみるみる近づいて来たが、暗くてバックミラーでは相手の顔などは確認出来ない。パッシングの光やクラクションの音も聞こえる。
「もっと飛ばせ大介! このままじゃ追いつかれちまう」
オカケンは後ろを気にしつつ、俺に指示を出す。
「言われなくてもめいいっぱい踏み込んでるよ!」
俺は確かにアクセルを踏み続けていた。でも何ぶん初めて走る道だ。それに山道という事もあり、車線は狭い2車線がつづら折れになって続いている。いくら軽自動車とはいえ、これ以上スピードを出してはカーブを曲がり切るのは難しい。もしもカーブ時に対向車が来たりすれば衝突は避けられない状況だ。
キキーッ!
「きゃああ!」
「うわああああ」
車が揺れる。運転免許を取り立ての不安定な運転で、この山道の走行はレベルがかなり高い。加えてワゴンは激しいパッシングを続ける。