学園怪談2 ~10年後の再会~
……。
「私のイレギュラーはね、私が会いたい3人目の事だったんだ。私が願った3人目って言うのはね……この子」
そう言って、紫乃さんは5カ月になるお腹を擦った。
「へえ、でもなんでそれがイレギュラーなんですか?」
私はイマイチ納得ができずに質問した。
「実はね、地獄で私と同じように誰かに会える権利が与えられた場合、必ず『生きてこの世に形がある人』に会う事を願う筈なんだって。確かに自分が死んだなら、もう一度だけ会いたいって思う人は普通なら生きてるよね? 死んでる人ならこれから会えるかもだしさ」
紫乃さんがそこまで言ったあと、今度は徹さんが口を挟んで来た。
「そう。それで紫乃は三人目にお腹の子を願った。でも、まだ産まれてないからこの世に存在しない。命はあっても、まだ会ってない。そんなイレギュラーな考えを思いつく奴は地獄に来る筈がないって事らしいんだ」
私はその説明に納得し、紫乃さんのお腹を見つめた。
「凄い経験をしたんですね。でも生きかえれて何よりでした……ん? でも、そもそも紫乃さんは何で死にかけたんですか?」
私の最後の質問に、明らかにバツが悪そうに紫乃さんが顔を歪ませた。
「いや~、別になんて事ないよ~。ちょっと食べ合わせが悪かっただけだよ」
……いったい、どんな食べ合わせをすれば死にかけるのか気になったが、それでも紫乃さんが無事でよかった。子を想う親の愛が突発的なイレギュラーに繋がったのだ。きっと二人の子供なら元気で明るい子が生まれて来るに違いない。
私は出産祝いに行く事を約束しつつ、そのために何としてもこの夜を乗り切らなければと熱く心に誓うのだった。
残り4話
「私のイレギュラーはね、私が会いたい3人目の事だったんだ。私が願った3人目って言うのはね……この子」
そう言って、紫乃さんは5カ月になるお腹を擦った。
「へえ、でもなんでそれがイレギュラーなんですか?」
私はイマイチ納得ができずに質問した。
「実はね、地獄で私と同じように誰かに会える権利が与えられた場合、必ず『生きてこの世に形がある人』に会う事を願う筈なんだって。確かに自分が死んだなら、もう一度だけ会いたいって思う人は普通なら生きてるよね? 死んでる人ならこれから会えるかもだしさ」
紫乃さんがそこまで言ったあと、今度は徹さんが口を挟んで来た。
「そう。それで紫乃は三人目にお腹の子を願った。でも、まだ産まれてないからこの世に存在しない。命はあっても、まだ会ってない。そんなイレギュラーな考えを思いつく奴は地獄に来る筈がないって事らしいんだ」
私はその説明に納得し、紫乃さんのお腹を見つめた。
「凄い経験をしたんですね。でも生きかえれて何よりでした……ん? でも、そもそも紫乃さんは何で死にかけたんですか?」
私の最後の質問に、明らかにバツが悪そうに紫乃さんが顔を歪ませた。
「いや~、別になんて事ないよ~。ちょっと食べ合わせが悪かっただけだよ」
……いったい、どんな食べ合わせをすれば死にかけるのか気になったが、それでも紫乃さんが無事でよかった。子を想う親の愛が突発的なイレギュラーに繋がったのだ。きっと二人の子供なら元気で明るい子が生まれて来るに違いない。
私は出産祝いに行く事を約束しつつ、そのために何としてもこの夜を乗り切らなければと熱く心に誓うのだった。
残り4話