学園怪談2 ~10年後の再会~
第97話 『ポルターガイスト』 語り手 能勢雅亮

 次は能勢さんが話す番だ。彼の話には実体験が伴うものが多く、今までどれだけの霊体験をしてきたのか想像もつかない。それもこの話で終わりなのだと思うと、やはり寂しさがこみ上げてくるのは否めない。
「よし、じゃあ最後の俺の話は、実体験をまたやってみるとしようか」
 その能勢さんの言葉に、私は10年前の『こっくりさん』の出来事を思い出した。あの時は本当にこっくりさんを呼び出してしまった。実験は成功だったけど、こっくりさんだと思って召喚したのは悪霊だった。それをもう一度、本物のこっくりさんを再召喚することで事なきを得た。
 ……思えば、非現実的な経験をさせてもらったものだ。
「じゃあ、今回の実験は一体何を?」
 私は好奇心と少しばかりの不安を胸に、何やら準備を始める能勢さんに尋ねた。
 能勢さんは教室の机を隅っこにまとめると、ゆっくりと口を開いた。
「今からポルターガイストの実験をやってみたいと思う」
 ……ポルターガイスト。たしか、誰もいないのに勝手に物が動いたりする心霊現象だったと思うけど……。
 私の想像を肯定するように能勢さんが話を続ける。
「ポルターガイストは大きく分けて4パターンの解釈がある。一つは霊的な何かの力が働いているという説。二つ目は電波や磁力などの科学的な力が引き起こしているという説。三つ目はイタズラ。おもちゃや機械仕掛けの物を動かして……っていう、まあ馬鹿馬鹿しい説。最後に超能力者……はは、これもあんまり一般的じゃないけど、テレキネシスっていう手で触れなくても、自由に物を動かす能力を持った人が……そういえば昔、『超能力学園Z』っていう映画があってさ、主人公の学生が薬品実験の失敗でテレキネシスの能力を身につけてしまうってのがあるんだけど、これがなかなかエッチで……」
 と、なぜか脱線した能勢さんの話がしばらく続いたが、その間はみんな固まっていた。おそらく私も同じように固まっていたに違いない。
「……と、ごめんごめん。とにかく今言った説の中では最初の二つが普通なら考えられるポルタイガイストの要因だと思うんだ」
 霊的な説と、科学で解明できる説。
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