学園怪談2 ~10年後の再会~
「……いや、どうも事件の真相がはっきりと見えないもんだからさ。徹がさっき『最後』って言ったのも気に掛かるし……。それにね、僕は徹と一緒に暮らしてたから分かるんだけど、徹は中学を卒業して以来何度もこの新座学園に足を運んでいるんだよ。その真相を聞いても何も教えてくれないし」
「え? う~ん、でも紫乃さんが無事だったんだし、いいんじゃないですか?」
 私は祠の前に落ちたままになっていた手紙を拾い上げながら言った。
「確かにそうだけど……」
「そうですよ~。淳さんは心配性です……ああっ!」
 突然、私は大きな声を出してしまった。
「うわ! どうしたの急に大きな声を出したりなんかして?」
 私の声に驚いた淳さんだったが、当の私はもっと驚いていた。
「じゅ、じゅじゅじゅ、淳さん! これを見て下さい!」
 私は拾った2枚の手紙を重ねると、僅かにずらして文面の一番上の文字だけを読めるようにした。
『小マえは十年意内二しぬ』
「お前は……十年以内に……死ぬだって!」
 手紙を見た淳さんも明らかに驚愕の顔をした。
「もう一枚の方も読めます!」
『十年間毎日ク用しろ』
「十年間毎日供養しろ……」
 私も淳さんも言葉を失った。
 タイムカプセルに入れられた手紙にはメッセージが込められていたのだ。
「あ~、気づいちまったか」
 ……不意に声をかけられて振り向いた私たちの前に、頭を掻きながら近づいてくる徹さんの姿があった。
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