学園怪談2 ~10年後の再会~
「徹、これはいったい……?」
 淳さんは実の双子の兄弟に起きた出来事が相当気になるようだ。
「今まで黙っててすまんな淳。そのメッセージに先に気づいたのは美也子だったんだ。紫乃と二人でタイムカプセルを埋める際、美也子は手紙を折った時に気づいたらしいんだ。それで不吉に思って、その夜に掘り起こして消そうと試みたようだが、その時にはもう呪いがかかっていたのかカプセルは開ける事も壊すことも出来なかったそうだ」
 いつになく真剣な表情で徹さんが話す。
「そうか、それで彼女はそれから毎日学園を訪れて祠に供養を……」
 ……だんだん話が見えてきた。美也子さんは呪われた紫乃さんを救うために毎日学園に通っては祠に供養の祈りを捧げていたんだ。白血病という病魔に襲われても、自分の大切な友人を救う為に毎日毎日……。そして、最後には祠の前で力尽きてしまった。
「美也子は死んだ。病気は井上昂明の呪いとは関係なかったようだが、残りの七年間の供養を続けなければ紫乃は死んでしまう……」
 徹さんは相変わらず真剣な表情だ。
「それで彼女の代わりに残りの7年間もの間、毎日毎日ここに通ってたって訳か。これで合点がいったよ。なぜお前が旅行に行くのを避けたり、具合が悪い日でも外出したりしてたのかがね……」
 ……凄まじい事実だった。7年もの間、誰に語るでもなく、頼るでもなく、紫乃さんのために雨の日も風の日も続けた供養。そしてその供養が……つい、たったさっき実を結んだのだ。
「美也子はな、俺に告白してきたんだ」
「え? じゃあ紫乃さんが見たっていう徹さんに告白してきた女の子が……」
「そう、それが美也子だ。俺は紫乃が……好きだったからな。美也子とは付き合えないって断ったんだ。そうしたら彼女は笑顔で言ったよ。『一途なところが徹らしいね』って。そして親友の紫乃を守るために3年間もの間を一人で供養し続けた。もちろん紫乃には秘密だ、告げれば混乱を招くだけだしな。しかし病魔に身体を蝕まれ自分の寿命を悟った美也子は俺だけにこっそりと打ち明けてくれたのさ『二人とも私の大切な人だから生きて欲しい。徹なら出来るよね。残りの期間……私は天から二人を見守ってるから……紫乃を護って』てな」
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