優子の恋



ルンルンとスキップをしながら
鼻歌まで歌い始めた
私は完全に周りが見えていなかった。

だから暗い物置から
私を狙う光る目に気がつかなかった。


エレベーターから
降りて最初の角を曲がった所で
突然腕を掴まれて
強い力で引っ張られた。


「きゃっ……」

口を押さえられて
叫ぶことも出来ない

手も掴まれて動かせない

唯一動かせる足を
バタつかせると
相手の脛に強めに当たった。


「いてっ!」

「…ん?」


口を押さえる力が
緩められて言葉を発することが出来るようになった。


「なんだ~部長かぁ、びっくりしたじゃないですかぁ!」

拳を部長の胸の所に押し当てた。

「こんな暗い場所で、なんのつもりですかぁ?」


下から睨むように
見上げるけど
部長は何も言わずに
私を見下げている。


「部長?」


首を傾げて
顔を覗き込むと
部長はいきなり
私の唇を奪った。


「ちょ……」


抵抗させないように
すぐに次のキスをした。

腕も壁に押し付けられて
動けなくなって

部長の膝で
私の内腿からしっかりと
固定されていて
びくともしない。



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