優子の恋
迷った挙げ句
膝を曲げて地面に
頭を近づけた。
「通してください、私には好きな人がいるんです…」
「……」
「お願いします…」
おでこを地面に
こすり付けて
もう一度お願いした。
「何してんだよ……」
肩を掴まれ
前後に振られた
「お前プライドとか無いのかよ…そんな簡単に土下座とかするな!女だろ!」
「ぶ…部長が言ったじゃないですか!」
「そうだな…すまなかった、必死だった俺…」
「…すみませんでした」
「謝るなよ」
「手を離していただけますか?」
「……そうだな」
自由になった体を
持ち上げて颯爽と扉を開けた
部長は、泣いていたけど
私は振り向かなかった。
だって、私も泣いていたから