優子の恋



ふと時計を見ると時刻はもう午前2時を過ぎていた。

「今日はもう遅いから泊まっていったら?」

「いいの?」

「うん、着替えまだあるから…」

「え?」


クローゼットを漁ると昔、海人がうちに泊まった時に着ていた服が出てきた。


「「懐かしい!」」

思わずハモってしまい二人で顔を見合わせて笑った。

「はい」

「ありがとう」


受け取った服を見て海人は動かなくなった


「海人?」

「ユウコ!」


ガバッ!といきなり海人は私に抱きつくと
ブンブンと横に振る


「あ…ちょっと、目が回るって……」

「嬉しい、嬉しい!」


海人は本当に嬉しそうに笑った

「本当に戻ってきてくれるの?」

「うん、傍にいるよ」

「信じられないくらいに嬉しいよ」


子供みたいに無邪気に喜ぶ彼を見て思い出した。


彼は純粋な人だった
深く愛してくれて
とても優しくて

私には勿体ないくらい素敵な人だったんだ。



「私を見捨てないでくれてありがとう」



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