イヴの魔法~無関心な彼が甘くなる瞬間~
トボトボと、歩く。
そのとき、急に肩に手を置かれて。
ビックリして後ろを見ると、
キョトンとした刹那の姿があった。
なによ、その顔!!
悔しくて、こんなに好きだって実感して、苦しんでるのは、あたしだけ!?
「どうした?」
彼は眉間にシワを寄せて尋ねるから、本当に見当もつかないんだって。
そう 思ったら、あたしは刹那を振り払っていた。
後ろで「日和?!」って声が聞こえる。
でも止まらずに、走った。
だって、だって。
香水、移り香してたよ?
なにしてきたの?
そんなの、分かりきって。
でも、分かりたくなくて。
あたしは、ただ走った。
そして、家に着くなり、思いっ切りドアを閉めた。
こんなとき、刹那と家が隣ってことが、嫌になる。
急いで部屋に入ると、カーテンを閉めて、座り込んだ。
だって、立ってられない。
辛さが、肩に乗っかって、重い。
刹那、好きだよ…。