イヴの魔法~無関心な彼が甘くなる瞬間~
泣くだけ泣いて、ふと時計を見ると、もうお昼。
いつもなら、刹那の教室行って、刹那を呼ぶのに…。
呼べないよ。
ほんとは、あの人とお昼、食べたかったのかな?
考えれば考えるだけ、辛くなる。
刹那……。
ふと気付くと、夕日が窓から差し込んでいる。
……あたし、寝てたの?!
ビックリして立ち上がったその時。
「やっと別れられたよ!!
これでやっと、正面向ける!!」
ビクッと身体を震わせる。
この声…あの人だ。
「刹那は?」
刹那って…刹那って……
呼ばないで!!!
そう思うのに、あたしは…。
ただただ、走って逃げた。
こういう時に便利だね?
刹那の部屋に入るとき、階段の軋み音ひとつ、鳴らさないように歩けたから。
階段を下りて、普通棟に入ったその時。
「いた!!
日和!!!」
急に熱に覆われて、自分がいかに冷たくなっていたのかが分かる。
こんなときに、
悠希がいるなんて…。
神様は、ズルいよ。
これが莉奈だったら、
こんなにドキドキしないのに。