イヴの魔法~無関心な彼が甘くなる瞬間~
そのままあたしは、教室へと連れられた。
中は暖房が効いてて、暖かい。
「日和、これ」
悠希は、莉奈の机にあったブランケットを、あたしに被せる。
こうやって勝手に使うとこ、悠希だよね。
あたし達は、椅子に座った。
そして真剣な眼差しであたしを見る。
「どうした?」
ズルい。
本当にズルい。
そんな優しい声で言われたら、いくらあたしでも揺らいじゃう。
……ズルい。
でも、なんとなく今は現状を言いたくなくて。
それを悟ったのか、悠希も深くは聞かない。
「俺さ、こんなときに言うのはセコいけど…でも壊れそうなお前見て、ほっとけないから…」
ん…?
キョトンとして、悠希を見つめる。
「俺、日和のこと、本気で好きだから」
そう言って、ゆっくりとあたしのおでこにキスをした。
避けようと思えば、避けられたのに。
ただ驚いて、目を見開くことしか出来なかった。
だって悠希の顔が、
真っ赤だったんだもん…。