イヴの魔法~無関心な彼が甘くなる瞬間~
お昼休み。
いつものように、刹那の教室に行く。
「あ、日和ちゃん!
また櫻井のトコ?」
向かう途中、何人かの先輩に声を掛けられる。
それは、教室に入ってからも同じで…。
「刹那っ」
「あー、日和ちゃん!!
今日は俺らとランチしなぁい?」
…あたしは刹那に声掛けてるんだけど、な。
でも、嫌な顔したら刹那にも迷惑かかるかも…。
そう思ったら、変な行動も取れなくて。
「今日は刹那と食べるので。
また誘って下さい」
……これが無難なのかもしれない。
でも、そう話しているうちに、刹那は席を立つ。
そしてスタスタと、教室を出て行っちゃうから、あたしは慌てて後を追った。
だから、知らない。
クラスの皆が
「櫻井、ありゃ完全なヤキモチだよな?」
「うん」
と、声を揃えて言っていたことなんて。
***
お昼は、いつも中庭で食べるあたし達。
いつものベンチに座ると、あたしは刹那にお弁当を渡す。
この時が1番好き。
だって、刹那の表情がフワッて和らぐから。