イヴの魔法~無関心な彼が甘くなる瞬間~




お昼休み。



いつものように、刹那の教室に行く。



「あ、日和ちゃん!
また櫻井のトコ?」



向かう途中、何人かの先輩に声を掛けられる。



それは、教室に入ってからも同じで…。



「刹那っ」


「あー、日和ちゃん!!
今日は俺らとランチしなぁい?」


…あたしは刹那に声掛けてるんだけど、な。



でも、嫌な顔したら刹那にも迷惑かかるかも…。



そう思ったら、変な行動も取れなくて。



「今日は刹那と食べるので。
また誘って下さい」



……これが無難なのかもしれない。



でも、そう話しているうちに、刹那は席を立つ。



そしてスタスタと、教室を出て行っちゃうから、あたしは慌てて後を追った。



だから、知らない。



クラスの皆が


「櫻井、ありゃ完全なヤキモチだよな?」



「うん」


と、声を揃えて言っていたことなんて。



***



お昼は、いつも中庭で食べるあたし達。


いつものベンチに座ると、あたしは刹那にお弁当を渡す。



この時が1番好き。



だって、刹那の表情がフワッて和らぐから。



< 5 / 33 >

この作品をシェア

pagetop