イヴの魔法~無関心な彼が甘くなる瞬間~
特に刹那は、甘い卵焼きが大好き。
それを知っているからこそ、卵焼きは多めに入れる。
「刹那ぁ、美味しい?」
「……ん」
朝、どんだけ冷たくされても、この瞬間に出会っちゃうと、あたしは笑顔になっちゃう。
昔からクールだったから、ある程度は馴れてるし。
「刹那、今日一緒に帰れる?」
「……ん」
ほんと、どんだけ好きなんだろ。
こんな短い言葉でも嬉しくなっちゃうなんて。
*放課後*
さっさと鞄を準備するあたし。
そんな矢先、同じクラスの
黒崎悠希が、あたしに近付く。
コイツ、ちゃらちゃらしてる癖に、頭いいからムカつく。
いい人だから、嫌いじゃないけど。
「ひよこ、あのなぁ」
「ひ、よ、り!!あたしは日和!!
……で、なに?」
コイツ、毎回ひよこってよびやがって!!
「今日から3日間、放課後補習してかないと、お前冬休みくるようだってよ」
「は!?
なんでぇ?!」
今日は、刹那と帰る予定なのに…
「なんでって、お前期末テスト散々だろが」
「え、そうだっ…」
「そうなの!
悪い記憶消す癖、やめろ」