あの花を何度でも愛そう



しばらくすると、ゆりは目を覚ました。


病室から覗く景色はもう赤く染まっていた。


時計を見ると5時だった。




「いちや…ごめんね、心配かけちゃって」


ゆりは体を起こして僕に謝る。
ばつが悪そうな顔でえへへといいながら。



…いいよ謝らなくて。
俺はそんな言葉が聞きたいんじゃないんだ。



僕はそう心の中で思いながらゆりをみつめた。





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