あの花を何度でも愛そう




ある日、あの父の息子が、油性ペンであたしの名前に×をつけた。


あたしは家族に存在を否定された。

母と義理の父はその光景にクスッと笑った。



あたしは許せなかった。


あのプレートは、幼いとき、父があたしのために作ってくれた大切なプレート。

子供っぽいから と外してしまおうと思っていたけど
どうしてもはずせなかったそのプレートが、めちゃくちゃにされた。



あたしはあの子供を殴った。






その後はよく覚えていない。



ただ、義理の父に殴られたことと
母に『お前は出来損ないのくずだ』
と罵声を浴びせられたこと。





それだけは
覚えていた。





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