クリスマスホラー特別企画
クリスマス奇跡物語『手、繋げたね』
街はクリスマス一色のムード。
これはとある県での話です。
帰りの車内にて。そこに男が運転し、助手席に女が座っていた。
男『綺麗なイルミネーションだったね』
さおり『そうだね、今日はほんとありがとう』
男『ううん。でも他のメンバーがみんなドタキャンだなんて、びっくりしちゃったよ』
さおり『……実はね、ホントは他のメンバーなんて最初からいなかったんだ』
男『え?』
さおり『……私、あなたと二人きりで来たかったの』
男『…………え?』
さおり『こんな時に誘うんだよ。なんでかわかるよね?』
男『それってもしかして……?』
さおり『うん、告……』
男『あ、やべ、腹いてー。うんこー』
こんな山奥にも関わらずそこにはトイレが。車を止めてトイレへ。
男『さおりもトイレ行っておきなよ。帰り道はまだまだ長いんだから』
さおり『え、大丈夫だよ。私さっき行ったばっかりだよ』
男『いいから行っておきなって。……もし女子トイレに誰もいなかったら電話して。こっそりそっち行くから』
さおり『それってもしかして……』
男『……わかってるんだろ』
さおり『……さおり、トイレ行ってくるね』
さおり、トイレに行く。
さおりの姿が完全に見えなくなった瞬間、男は車に乗り、エンジンをかけっぱなしにしていたその車を発信させようとした。
男『誰が行くかよ。お前みたいな不細工』
捨て台詞を吐き、アクセルを踏んだが何故か車が動かない。
男『あれ……?あれ?』
そして何の前触れもなく、音が徐々に小さくなり、ついには止まるエンジン。
男『おかしいな……困るよこんな山奥で……』
ピリリリリリリリ
突然鳴りだす携帯。相手先はさおりだ。
男『うわ……逃げようと思ったのに電話きたよ。チッ。ついてねーや、ハイもしもし』
さおり『あ……男君……?』
男『おう』
さおり『ねえ……さっき言われた通り、女子トイレに誰か居なかったら電話してって言ってたけど……』
男『うん』
さおり『誰もいないんだけど、「誰か居るんだ」』
男『???』
さおり『ちょっと……来て……お願い』
男『まあ、分かった。とりあえず行くわ』
めんどくさい……男はそう思った