クリスマスホラー特別企画

『もしもし、今駐車場に着きました。どこに居ますか?』



……



男とさおりはお互い顔を見つめる。



Aの声ではあるが、明らかに乾いた生気のない言葉。



先程男が自分の携帯から電話した、気さくな声だったAとは違う。



Aだが、Aではない事にすぐ気付いた。



電話は切られず、次の会話に進んだ。



『今、トイレの前に居ます。どこに居ますか?』



男『……』



さおり『……』



お互い涙目で手を握り合う。



『今、男子トイレに居ます。どこに居ますか?』



もはや、言葉を出す事なく、ただただそれを聞くしかないでいる。



『今、外に出ました。どこに居ますか?』



恐怖で声も出ず、体も硬直したままである。



『今、女子トイレの前に居ます。どこに居ますか?』



トイレの電気が、チカチカと消えかかりそうな反応を見せた。






『……』プツ


電話は切られた。


電話は切られた。


電話は切られた。


電話は切られた。


電話は切られた。


電話は切られた。


電話は切られた。


電……


『あ……ここに居ましたねぇ?』



男・さおり『ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』




……END
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