愛を知る日まで
恥ずかしそうにしてはいたものの、真陽の手は的確に男のイイ所を知っていた。
それを教えたのは誰なのかなんて、今考えたら絶対に萎えるだろう事を頭から必死に追い出してると、ふと真陽が手を止めた。
そして、チラと俺の顔を見るとそのまま上体を屈めて頭を沈めようとした。
「あっ…!?待って、たんま!たんま!」
彼女がなにをしようとしたか理解した俺は慌てて腰を引いた。
突然止められた真陽が「あれ?」と云う表情で俺を見る。
「そ、それはいい。口は…しなくていい。」
「え、ごめん。イヤだった?」
戸惑いの色を浮かべた真陽の顔を優しく手で掴んで、目線を合わせる。
「んと…イヤじゃないんだけど…
なんか、真陽にはそういうコトさせたくないって言うか…」
散々彼女を乱しておいて、勝手な言い分だとは分かってるけど。
なんか、なんかそうなんだ。
結局どれだけ抱いて彼女を淫らな女の顔にしようとも、真陽は俺の中ではどこか崇高な印象が拭いきれないんだ。
どこか、彼女には下卑た事はさせられない雰囲気があって。
身体の欲求とは裏腹に俺はそれを拒み、掴んだままの真陽の顔に自分の顔を寄せて
「キスの方がいい。」
そう呟いてから、汚したくない唇に丁寧にキスを重ねた。